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インクルーシブ野外教育研究所

所長

信州大学 全学教育機構 健康科学教育部門 助教

加藤彩乃

一般社団法人

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Universal

Field

〜Access for ALL〜を実現する

ユニバーサルフィールド

認定事業

「この景⾊を、あの⼈と⼀緒に見たい」

「ここに来たら、あの人もきっと喜ぶだろうな」

 

旅先でそんな思いを抱いたことはありませんか?

でもおじいちゃん、おばあちゃんや、ベビーカーが必要な家族、障がいのある人などと、家族や友人たちが⼀緒に旅することが難しい場合も決して少なくありません。もちろん⽇常⽣活ではバリアフリー化が日本でも進んでいます。公共の施設は日本も決して世界から遅れてはいないのかもしれません。

 

しかし、多様な人々が雄⼤な自然を有する山岳公園や海浜公園などを楽しむための環境整備は遅れています。しかし、コストをかけ自然や景観を壊し、すべて舗装しては本来の⾃然を楽しめる魅力的な場所にはなりません。欧米では、多様な人々が大自然をフィールドに旅やアウトドアスポーツを楽しんでいます。⼭や海、歴史的な遺跡などバリアフリー化が難しいフィールドをアクセスフリーとしているのは、道具やアイディア、そして、人の手と少しの勇気です。物理的なバリアフリーでは感じることのできない⼈の温もりが、いとも簡単にバリアをクリアしているのです。この世界標準の概念を「ユニバーサルフィールド」といいます

 

ユニバーサルフィールドとは、物理的障害、設備の有無を意味するものではなく、身体的、心因的状態の異なる多様な人間同士が着想や人の手を用いて、誰もが実用可能となる環境です。

ユニバーサルフィールド実現事例

八ヶ岳・富士見高原リゾート

(2018年10月第1号ユニバーサルフィールド認定予定)

ユニバーサルフィールドの概念を2009年からいち早く取り入れ、環境保全と共に様々な改革を両立。その結果、来場客が増加し、日本で初めてとなるユニバーサルフィールド化を成功されました。

カートやアウトドア⽤⾞椅⼦の導⼊で、

全国から利⽤者が集まる富士見⾼原リゾート

 

幼い⼦供たちからお年寄りまで、そして、障がいを持つ方々とそれをサポートする方々、誰もが分け隔てなく自然と親しめる“ユニバーサルフィールド”というイメージが定着しつつある富⼠見⾼原リゾート。

自然景観の維持という観点から、園内のすべてがバリアフリーというわけではありませんが、自動操縦のカートやアウトドア⽤車椅子の導⼊をはじめとして、知恵や⼯夫、思いやりの心で、多くの⼈々が楽しさや感動を共有できるリゾートづくりを目指してきました。その結果、障がいを持つ方々やそのファミリーが県内・近県だけでなく、全国からの利用者も増加中です。実際、2014年年の元旦には、富⼠山の横から昇るご来光を眺めようと、氷点下5度の寒さの中にもかかわらず、およそ200人ものあらゆる年代の⽅々が富⼠見⾼原創造の森(彫刻公園)に集まったほど。中には障がいをお持ちの方やそれに付き添ってこられた方の姿も少なからず見受けられました。もちろん、観光シーズンには、八ヶ岳笠⼭・富⼠山・南アルプスの北岳・北アルプスの奥穂高岳を⼀望できることもあり、創造の森へのルートがにぎわいを見せています。

問題は、利用者層の⾼齢化や急な登り道

かつては年間約70万人(※)が訪れていましたが、1997年頃から客⾜が鈍りはじめ、2008年からは30万人台にまで落ち込んでしまいます。原因は、景気低迷やそれに伴う個人消費の抑制。レジャーの多様化もそれに追い打ちをかけました。しかも、アウトドアのレジャー市場では、別のファクターも大きく影響しています。それは、利用者層の⾼齢化という問題。富⼠見高原リゾートでは、山麓から創造の森公園までの誘導路が、標⾼差200m・延長1,500mあり、徒歩での来場⼜又はスキー場のリフト利用に限定される状態でした。ご高齢の方々の中には、車椅子を利用されている方や⻑時間歩き続けることが困難な⽅方も増えてきていましたし、障がいを持った⽅々や幼い子供たちにとっても、いささか厳しい道程でした。

 

余剰カートの活用で安全な往復路を実現

様々な輸送手段を検討しているうち、富⼠見高原リゾートが管理理するゴルフコースで新たなカートを導入することに伴い、余剰になる旧カートを利用できないかという話になりました。また、創造の森公園までの誘導路の舗装が2011年に実施されることになり、電磁誘導線を埋設すれば、自動運転で安全にカートを運行できると判断。2012年年5⽉月から導入する運びとなりました。カートは全部で60台を導入。その結果、延べ利用台数は2012年2,270台、2013年5,715台、2014年11⽉月30⽇時点7,900台(約25,000人の利用)と拡大中です。

アウトドア⽤車椅子で

自然環境の維持とコストの削減を両立

それだけでなく、富⼠見高原リゾートをあらゆる人々が楽しめるユニバーサルフィールドにしようという計画も同時に進行していました。ある⼀人の職員の方が、その中心となって活動していたのですが、⽔陸両⽤車椅子の「HIPPOcampe(ヒッポ)」に注目。取り回しが簡単で、利用する人も介助する人も楽にいろいろな場所に⾏けるだけでなく、砂利利道や林道、ぬかるみや雪道も進めるからでした。なにしろ、園内の遊歩道をすべて舗装してバリアフリー化することは、予算的にも環境保全の観点からも、⼤きな負担を強いられますし、移動範囲が舗装路路だけでは、一般的な車椅⼦に乗ったままで花や樹⽊を間近で見ることもかないません。「HIPPOcampe」を利用できれば、道路の舗装が最小限で済み、自然環境も保てる上、コストも抑えられます。もちろん、季節の花々や樹木とのふれあいも楽しめます。カートにも載せられるので、花の里や創造の森までカートで行き、現地では「HIPPOcampe」で散策するという使い方が一般的。

2011年年に4台、2014年7⽉にはさらに3台を導入し、現在では計7台が稼働中です。(無料料レンタル)遊歩道自体は、家族が一緒に並んで歩ける道幅を整備の基準として、路面にウッドチップを敷設し、「HIPPOcampe」が利用でき、歩行者の歩きやすさも確保しました。

 

デュアルスキーを導入して、四季を通したアクティビティーが可能に

2015/2016冬に、フランス製のデュアルスキーを日本で初めて導入したことで、お年寄りや障がいをお持ちの方でもスキーを楽しめるようになりました。デュアルスキーを操縦するパイロットもスキーインストラクター3人がライセンスを取得し、いつでもご希望にお応えできる体制を確立。

2015〜2018年10月

Universal Fes.開催

八ヶ岳・富士見高原リゾート

ご来場者の声

線維筋痛症の私は、車椅子でも整備された都会の歩道を行く際も振動で全身に痛みが伝わるのですが、この⽔陸両用の車椅⼦のおかげで、山道のようなでこぼこ道でも振動が伝わりにくく、初体験でしたが、富⼠見高原まで快適に登ることができ、金環日食を楽しむことができました。

敬⽼の日、⽔陸両⽤車椅⼦HIPPOcampeなるものを借りて、展望台へ。太いタイヤで未舗装路も平気。富⼠山は見えなかったが、視野が広がり、⾼原の風を感じながら、深呼吸。ものすごく喜ばれた。

富士見高原リゾート代表取締役

福田敏明 社長

 

普段から現場へ出てお客さんとの 触れ合いを第一にしている社長は、前例にとらわれず、「人が楽しんでくれる」と感じたら 迷うことなく「やるぞーーっ!!」とパワフルな陣頭指揮で突き進み、日本初のユニバーサル フィールドを創り上げて来られました。

富士見高原リゾート

藤田然 課長

 

2010年、スーツ姿にチェーンソーを振り回し、 ユニバーサルな道を切り開いていたのが藤田さん。 穏やかな眼差しの奥には、 「誰でも楽しめるマウンテンリゾートを」という熱い思いで 溢れ、地元を盛り上げながらユニバーサルフィールドへと導いた立役者です。 願い、動き続ければ道はできる。 藤田さんはそう示してくれました。